「俺には、言えないのか?兄貴は知ってるんだろ?じゃあどうして・・・・・」

兄貴は何も言わずに黙ってみている。

「俺じゃ、ダメなのか」

ゆりは、俺を必要としていない。

「違うっっ」

「だってそういうことだろ?!」

ゆりは目に涙をためて言った。

「違うよ、夏樹・・・・・」

ガクン

ゆりは立ち上がろうとしたが、その場に崩れ込んでしまった。

「ゆりっ」

兄貴が抱きかかえる。

「ごめん、春ちゃん」

ゆりは過呼吸を起こしていた。

「ゆり、落ち着け。大丈夫だから」

兄貴はゆりを抱きかかえたまま2階へ上がっていった。