ガチャ

「えっ?」

俺と目が合った瞬間、ゆりの顔色が変わった。

「夏樹・・・・・・」

俺はゆりの少し膨らんだおなかに目がいった。

「あっ」

ゆりは隠すようにクッションをたぐり寄せた。

それをかばうように兄貴が前に出る。

「藍ちゃんに、聞いた」

ゆりの瞳が揺らぐ。

「兄貴の、子なのか・・・・・?」

「夏樹、ちが―――――――」

「兄貴には聞いてない」

今更、違うなんて言わせない。

「春ちゃんの子じゃないよ・・・・・」

ゆりが泣きそうな目でそう言った。

違うのか?

「じゃあ誰の?」

ゆりはうつむいたまま何も言わない。