「あのねゆり、一樹さん、先月倒れて運ばれたの」

「えっ?」

一樹さん、夏樹のお父さんのこと。

「おじさん、どこか悪いの?」

「病気ではないらしいんだけど、過労とかそういうの。でも、それ以来あまり良くないみたい」

「夏樹、そんなこと一言も言ってなかったのに・・・・」

「夏樹くん、ゆりに心配かけたくなかったんじゃない?ゆり、一樹さんになついてたし」

小さい頃、共働きの両親に代わって私の面倒を見てくれたのはおじさんだった。

おじさんは家で建築設計の仕事をしていて、仕事をしながら色々な話をしてくれた。

仕事の合間に外に連れて行ってくれたり、私はおじさんが大好きだった。

「ゆり、やっぱり一樹さんと千夏さんには言ったらどうかしら。夏樹くんに言えないあなたの気持ちもわかるけど、赤ちゃん、あなただけのものじゃないでしょ?」

「でも・・・・・」

「大丈夫よ、あの2人なら喜んでくれるわ」