―――もしかして………。
皐月の両手を交互に見つめた。
指先が皐月の奏でる音色に合わせて微かに共鳴するかのように動いている感触を感じた。
指先の感覚に力を入れて固定して見るものの固定すればするだけ拒否反応を起こし逆に強く指先が動く様を自分の目で確認した俺は覚悟を決めて皐月が弾いてるピアノの前に立った。
やがて…ゆっくりとピアノに指先を触れさせると同時に解放された皐月の指は皐月の奏でる音色に合わせて再び奏で初めた。
「こ……これは……。
一体お嬢様の音色がまるで2つに……。」
執事の甲原さんもさっきまで弾いていた俺の演奏を聞いていたから‥今目の前で俺が皐月と合わせて演奏を奏でているのが信じられないのかさすがの彼も頭を抱え込んだ。

