それでも…指は容赦なく鍵盤にすいつくように弾きながら楽曲を奏でてゆく………。
「頼むっ―――!!
誰か止めてくれ――!!」
ピアノを弾く事なんてないド素人のただ操られるかのように弾くのに抵抗を重ねていた俺の(正確には…皐月の)細いしなやかな手は痛みを伴ってきたためさすがの俺も必死で助けを求めたその声に気づいた皐月はピタリと鍵盤から手を離したと同時に俺の手もフッ…と鍵盤から離れた反動で思いっきり椅子から転落した。
「だ…大丈夫……?」
慌ててみんなが俺に駆け寄り俺を上から見下ろす。
「―――なんとか……(汗)」
俺はひとまず体を起こしてピアノから解放された掌を見つめるが…当たり前だけど何も異常は見つからない。

