信じがたい真実を突きつけられ…興奮状態で声をあげた梓さんに皐月はゆっくりと頷いた。
「―――いいよ……。
ごめんね…。
梓ちゃん……。
ピアノ借りるから……!!!」
静かに呟きクルリと踵をかえすと部屋の窓辺に置いてある一台のピアノの前に立ちゆっくりと椅子に腰をおろすとピアノの蓋を開けると鍵盤が姿をあらわした。
皐月はゆっくりと吐息を整えて鍵盤に剣道で鍛えた指をのせてしなやかな音色を奏で始めた。
そのメロディーはクラシックに疎い俺でも息を飲むのも惜しむくらい引き込まれるような音色を鍵盤から繰り出される。

