「あ……ちひろ…その、ありがと…」
ちひろは私に鞄を手渡してきた。
「いいけど、どうしたのっ?」
「ちひろ、後で話すよ、もう授業始まっちゃうよ?」
ニコッと笑うとちひろは眉を下げた。
「…詩歌、元々不細工なのに泣いてたらもっと不細工になるわよ?」
「うわっ、大変……どうしようね…?」
アハハッと笑う。
今は頭の中は翔でいっぱい。
「詩歌…本当に大丈夫なの?」
「うん、ちょっと疲れちゃっただけだから、じゃあね、ちひろ」
「先生には…早退とでも、言っておく?」
「そうしてもらうと助かるな…」
疲れた。
翔があんなに悲しそうな顔するんだもん。

