私はその扉を開けた。 「翔っ!」 フワッと温かい春の風が髪を撫でる。 「……先輩……」 フェンスに寄りかかっていた翔。 私を見ると少しだけ目が見開かれた。 「翔…あの、わた「もういいです」 翔に向かって歩く私の足が止まる。 「……先輩、これ以上、俺、先輩に迷惑かけたくありません…」 酷く悲しそうなその声。