━ガラガラーッ……
音のしたドアの方を見ると、
こうちゃんの姿が。
「……実冬?」
私は、こうちゃんがそう呟いたのを聞き逃さなかった。
「こうちゃん……助けて…!!!」
私は、女優並みの演技で
こうちゃんに助けを求める。
「おい、お前人の女に手出すな。」
普段聞かないような、
低い声でそう言ったこうちゃん。
嬉しくて嬉しくて。
思わず涙しそうになる。
「お前、色んな女と毎日のように寝てるくせによく言えたもんだな?」
……待って。
こんなの聞いてないよ。
突然の愁くんの反論に
びっくりする私。
「お前には、関係ねぇだろ。」
こうちゃんの声は、
怒りに満ちていた。
「お前は本当に、実冬がスキなのか?」
「あぁ。少なくともお前よりはな。」
二人の間には、
黒すぎるオーラが漂っていた。
「んならもう2度と、実冬を泣かせるな。」
愁くんはそう言うと、
理科室を出ていった。

