……でも。


言っちゃいけないんだ。




だって、

私なんかと付き合っても

辛いだけだから。




自分の記憶を奪った人と付き合うなんて普通、できないよ……




だから……

「ごめんね……あたしはもう、
こうちゃんのこと好きじゃないの。」



きっぱりと、そう言った。




涙が目に溜まる。


「そっか……いきなり、ごめんな。」



そう言ったこうちゃんの声は、

今にも消えそうだった。


「じゃあねっ……」



私は一言そう言って、

電話を切った。



とたんに、涙が溢れだしてくる。




「ぅ……」


もうこれで、

ほんとうに何もかも終わりなんだ…



そう思うと、

胸が張り裂けそうなくらい苦しかった。




「好きだよ……こうちゃん。」



私は泣きながら、

そう呟く。



今更言ったって、

もう遅いのに━━…