「はぁ?和哉には関係ねぇだろ?」
「胡乃葉の家って、超ボロいわけ。
…見せたくないっしょ?
年頃の女の子なら」
家…ボロくないし…。
むしろ新築だよ…
酒臭いけど…
そう、目で訴えたら
軽く流されてしまった。
「てか、お前。及川さんのこと
名前で読んでたっけ?」
「隣の席だからな」
…助けて…くれた?
もう一度和哉を見ると、
微笑んできた。
…何を考えているの…?
「及川さんって、男子とか苦手?」
「え…?」
さっきの質問攻め男ではなく、
美紅と話してた優しそうな人。
「なんかあったら、
俺らのこと頼ってね。」
「…なんで?」
「もう、友達だろ?
明日の班別行動、改めてヨロシク」
…友達……?
意味…わかんないよ…
「胡乃葉~?」
「え、何?」
美紅が
急に覗きこんできてあたしの顔を
まじまじと見つめる。
上目遣いが
この上なく可愛い……
ってそうじゃなくて!
「…嬉しくないの?」
「…え…?」
「胡乃葉って、本当は男子とも
喋りたいんじゃないのかなーって…」
…むしろ避けてたのは
あたしの意思なんだけど…
「…和哉に言われた?」
「え?よくわかったね?」
はぁーーーー…
一体なんなわけ?
「…和哉」
「やっ、俺はね?
胡乃葉のためを思って…」
完全に顔が笑ってるっつーの。
「…ちょっと」
あたしは和哉を
玄関のとこまで引っ張り出した。

