「ごめん、ちょっと
先生に呼ばれてるから行ってくるね」
「はーい!」
ホテルに着いて、部屋に入るなり
あたしは部屋を出て
屋上に上がる階段まで登った。
「ーーー…あ、もしもし」
『おー!渚、今どこだー?』
「…大阪。」
電話の相手はリュウ。
「おじさんは?」
『今日も普通に仕事してたぜ』
「そ…ありがと」
目的はあの医者のおじさんの様子を
聞くこと。
あれから毎日あたしは
おじさんのいるホテルに行って
医務室にいる姿を
確認していた。
『別に病気とかなさそーだけどなー』
「…うん。元気だよね」
『なんだ、なんかお前は
元気なくねぇ?』
「…別に」
『ヤれねぇから
イライラしてんのか~?』
リュウの後ろから
クスクスと楽しそうな声が
聞こえる。
『も~リュウって
そういう話ばっかり~!
ナギはあんたみたいに
溜まってないよぉ~』
「七海の言うとおりだよ」
『あー?』
「…そろそろ切るね、ばいばい」
ーピッ
「…渚ちゃん?」
「……」
なんでいつも、和哉が
あたしの視界に入るのかな…
渚で会うのは…あの日以来。
「…もう、戻るから」
「また、あいつのことかよ?」
「和哉には…関係ないでしょ」
正直、和哉は嫌いじゃなかったけど
カズの話をする和哉は嫌いだ。

