大好きなのは貴方の×××(仮)



「渚、またトップとったんだって?」

その日みんなのもとへ行くと
煙草を吸って階段に座っていたやつが
息を吐きながらにやりと言った。

「…誰から聞いたの?」

「んー風のうわさってやつ?」


明るい街から少し路地にはいった謎の場所。
でも、
ここが本当に1番落ち着く。


ここにいる、みんなが
色んな事情で
闇の世界を生きている。

5〜10人の仲間たち。
いつ消えても現れても
関係のない、いつの間にかできてた
自由なグループ。


みんな、何かといい人だし。

「ねー、ナギ?
優等生って楽しいの?」

「…は?」

ブロンドに近い髪を
綺麗に巻いたお姉さんみたいな人。
あたしを《渚》から
《ナギ》って呼ぶ人は多い。

この中にいる女の子じゃ
一番仲いいかも。

「だって、ナギの高校って
この辺じゃトップでしょ?」

「え、すげーなお前」

「…七海もトップ取ってみる?」

「七海は無理だな!」

「リュウこそ無理でしょ?」

「ははっ、保健なら
任せろよ!」

「「ばーか」」

勝手に会話進むし…ま、いいけど。

…進学校で1位取るより
バカでもなんでも
自分で稼いで生きてるリュウのほうが
よっぽど頭いいと
あたしは思う。








「及川……?」


少なくとも、
こんなところで
クラスメイトに見つかってしまう、
あたしよりは。