「修学旅行ぉ~?」
「渚も行くのかよ?」
「んー…来月に3泊4日」
口からタバコの煙を吐き出す。
「てか金、大丈夫なのかよ」
「…あたしは行かないつもり
だったんだけど…」
経費の事情で行けません、
って担任に言ったら
“いつも成績優秀なんだから
たまには息抜きもしてきなさい”
って、
学校側から補助があったんだよね。
「…さすがトップ」
「悪いことばかりじゃないでしょ?」
「どこ行くの~?」
「京都、大阪、広島」
「修学旅行の聖地じゃねーか」
「いっぱい日本史に出てくる寺とか
あるからね。」
本当は
めんどくさいから
行きたくなかったんだけどな。
…泊まるとこあるんだし、いっか…?
ープルルル…
「…もしもし?
あーー…うん。
…わかった、」
「赤毛ヤロー?」
「うん。行ってくるね」
怪我が治るまで
もう少し、カズのお世話になる。
「渚…」
「何?」
カズとの待ち合わせに
向かおうとしたら
リュウに呼び止められた。
「いや…なんもねぇ」
結局リュウが
何を言いたかったのか
わからないまま
あたしはカズの元へ向かった。