「医者のおじさんは?」 カズのこと そんな風には見てなかったような。 「…あの人はもうすぐ死ぬ」 「は?」 「病気、なんだと。 詳しいことは何も言ってくんねぇ。 自分が医者だから 自身が1番わかってんじゃねーの?」 「カズ…さみしそうだね?」 「あ?何言ってんだテメー」 「だって」 カズの頬に両手を当てる。 「そうじゃなかったら、 なんで…こんな顔するの?」 カズの顔は 今まで見てきた男の顔で 1番、悲しい顔。 1番、綺麗な顔。