大好きなのは貴方の×××(仮)


手当てするって言ってたけど…

「あの…お金ないんですけど」

「お金?そんなのいらないよ」


カチャカチャと
治療の準備をしながら
あたしの問いに答えてくれる。

「僕はここの専属の医者だからね」


ここって…

「…カズって何者…」

「…君もそう呼ぶのかい?」

「へ?」

「あの方は大事なご子息。
…少し難ありだがね…


こうしてよく
怪我した女の子を
僕のとこに置いていくんだよ」


「ご子息…?」

「このホテルもそこの直轄だよ」


…なるほど。

だからここの鍵を…


「君も何か抱えてるのかね?」

「…」



準備が終わったみたいで
あたしと向き合った形になった。


「ーーった!!」


顔を上げると

医者のおじさんが
あたしの頬の傷に
消毒液入りガーゼを当てて
微笑んでいた。


「やるなら言ってよ…」

「お嬢さんが僕のこと
見ようとしないからね」

「お嬢さんじゃない」

「おや…じゃあなんて呼ぼうか?」