ーカタッ
「…お兄ちゃん。おはよ」
壁に手をつき、
眠そうに目をこする姿があった。
身長はそこそこ高く、
我が兄ながら顔は整っていると思う。
ただ、明るい髪の毛と
耳に開けられたピアス、
雰囲気はいかにも❝不良❞。
「あぁ…胡乃葉(このは)か…」
「ごめんね…起こして」
「まだ6時だぞ…?
お前よく動けるな…。
昨日もシてるんだろ?」
「昨日の人、よかったんだよ」
顔は微妙だったけど。
「…そっか」
あたしは着替え途中だから
ほとんど裸。
でもお兄ちゃんは動揺なんてしない。
ただの兄妹だからとかじゃなくて、
…あたしに夜の世界を
教えてくれたのは
紛れもない、お兄ちゃんだから。

