次の日の昼休み
あたしは人気のない中庭で
ある人を待つ。
中庭といっても特に何もなく
大きな木が1本立っているだけ。
暖かい日はここで
昼食を食べる学生もいたりするけど
冬の寒い風が吹く中、
わざわざ外に出る人はいないらしい。
ーーカタ…
「…なぎ…じゃねぇな、“胡乃葉”」
「うん、リュウはリュウで大丈夫だよね」
「あぁ」
リュウの前で胡乃葉でいるのは
はじめてに近い。
けど、特にリュウは反応することもなく
すんなり受け入れているようだ。
「久しぶりだね、なんか」
「…だな。悪ぃ、黙ってて。」
「いいよ。けど、
よくここに編入出来たね?」
「あー…試験はなんとか通った」
転校2日目だというのに
うちの制服をうまく着崩している。
「黒髪、はじめて見たよ。
かっこいいじゃん」
「適当言うなよ」
「適当じゃないよ」