和哉は、すっかりダンボールだらけに
なった部屋の真ん中に布団だけを
敷いて、横になって本を読んでいた。


すぐ隣にあたし用らしい布団も
丁寧に敷いてある。


「…リュウ、いなくて。」

「…そっか」


一瞬だけこっちを見て
またすぐに視線を本に戻す。


「…いいのか?」


「うん」


理由はなんとなく
わかってしまったから。


あたしには
どうすることもできない、
リュウ自身のことだから……



「明日、
荷物運ぼうと思うんだけど大丈夫?」

「明日?!」

「え、なに。ダメ?」

「ダメじゃないけど…」



あたし、引越し先すら知らないんですけど。


「とりあえず、明日学校終わったら
ココ集合ってことで」

「…あたし、いなきゃダメ?」

「もちろん」



話してる間も
和哉はこっちを見ることはなく。



「じゃ、おやすみ。」


お風呂から戻ってきてすぐに
眠りについてしまった。