自然と和哉に手を引かれて
2人とも終始無言で、
見覚えのある場所に辿り着いた。
手なんか繋いで…
同じ学校の人に見られたら
最悪なんだけど…
一応、モテるから、こいつ。
アパートは相変わらずの様子。
ドアを開ける時に
手はごく自然と離された。
「…」
奥の部屋へ入っていく和哉の後ろを
ついていく形。
「…はっ」
急に和哉が右手で頭を押さえて
カラ笑いした。
「手、振り払われると思った」
はぁーーーーーと
ほっとしたような、
そんなため息をつきながら
ボソッと言う。
…全然、聞こえてるけど。
少し見えた横顔は
頬が赤くなっていた気がした。
「胡乃葉そこ。座って」
壁際を指定されたので
壁にもたれて体育座り。
その左隣に同じように和哉も
腰をおろした。

