大好きなのは貴方の×××(仮)



放課後、
先生に進路のことで
つかまってしまった。


「及川、本当に大学
行かないつもりか?」

「うち、親いないんでー…」

「及川の成績なら
無利子の奨学金とか
狙えるんだけどなぁ」

「奨学金で済むものじゃないですよね。
授業料とか…
いっぱい借りても返すのに
時間かかるし…」

「でもなー…」


そんなこんなで
とりあえずは“考えてみます”とだけ
言って逃げてきた。


帰り際に先生につかまったため、
そのまま玄関へ向かう。


大学なんて…
お金かかるだけ…


そんなんだったら
バイト何個掛け持ちしても
とにかくお金を稼ぐ。



「あ…」

玄関で和哉が待っていた。

進路の話をされて
すっかり忘れていた。


「胡乃葉の家まで送りたいとこだけど。
例のボロアパート行くか」


「え…?」

まだ家出してる…?
カズが家を継ぐってことで
和哉が家を出る理由は
なくなったんじゃ…


…知らないの…?