優しい口づけがおとされる。
「渚…今までありがとう…」
まるで永遠の別れ。
…あながち間違ってはいないか。
きっとーー…
「カズ…また何処かで会えたら…」
ーーーー
「胡乃葉おはよ〜っ」
教室で美紅が待っててくれて
笑顔で迎えてくれる、いつもの朝。
「…あれ?目赤くない?
泣いたの…?」
心配そうに顔を覗き込んでくる
美紅を見て、思わず笑ってしまった。
「…胡乃葉?」
「…美紅にはお見通しだね…」
「なんか…あったの?」
なんでもないよ、と笑ったけど
制服のシャツから微かに香っている
カズの洗剤の匂いに
少し、心が苦しかった。

