「んだよ」
七海だった。
少し走ったらしく髪が乱れていた。
「ちょっと…!なにしてんの?!」
「なんでもいいだろ」
七海に向けたことのない、
いや、
仲間みんなに見せたことのないくらいに
七海を睨んだ。
さすがに少し驚いたようだが、
引いてはくれなかった。
「怪我してるじゃない!
何かあったわけ?」
「七海には関係ねぇよ」
そう言って七海の横を通りすぎる。
“関係ない”
そう言えば関わってはいけない世界。
「…無茶しないでよね…」
女ってのは
思いやりのある優しい生き物だな。
その優しさが
たまに鋭い牙を剥くんだ。

