「ん」
エレベーターの中で
差し出される手。
それを手を伸ばす自分。
こんなカップルみたいなこと…
なんだかくすぐったい…
ーガチャ
「ここ、1泊10数万」
「え」
「手が出なくは、ないだろ?」
「いや…あたしみたいなのじゃ
絶対無理…」
「あー…そうだな」
綺麗な広い部屋。
それなりに階も高くて
夜景が綺麗だった。
「家、継ぐんだ?」
「あー…ビール欲しいな
ちょっと待ってろ」
話を切り出したら
カズは出て行ってしまった。
あたしはカズに対して
なにも言えないし、
なにもできないのに。
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