「…何してんの?」
「ん?」
和哉の顔は朝起きたときのように
目の前にある。
「邪魔なんだけど」
仕方なく顔をあげる。
「…俺のこと好き?」
「嫌い」
「…じゃあキスする?」
「はぁー…?…ん…」
朝からにしては
甘い甘いキスが落とされる。
「ん…」
「…胡乃葉」
「なに?」
「お前、エロい」
「…はぁ?」
いきなりキスしてきたくせに
なんですか、それ。
「動じねぇのな」
「泣き叫んでほしかったの?
涙くらい流そうか?」
クスッと笑ってあげると
案の定、和哉は驚いた顔をしていた。
「やっぱ、お前面白えな」
「面白い?この汚れた身体が?」
何人もの男を受け入れてきた、
この身体が、
慣れた反応が
面白いって言うの?
ほら、興味本位なんじゃん。
こいつにあたしのことばらされたら
どうしようか……
先生たちに捕まり
お兄ちゃんに連絡され
なんでそんなこと、って美紅に泣かれるかな…
学校やめるかな、
もしそうなったら。
「胡乃葉?」
あたしを呼ぶ声を無視して
図書室を出た。
…あたしのいつもの
静かなひとときのはずだったのに。。

