大好きなのは貴方の×××(仮)



クリスマス当日。


美紅とふたりで
イルミネーションを
見に行くことになっていた。



なんの縁なのか、
イルミネーションのやる街は
いつも通う道にあった。



「すごい…」


見慣れたはずの夜の街なのに
今日はいつも以上にまぶしくて
夜なのに、人も街も
光の世界のようにキラキラしていた。



「胡乃葉〜!写真撮ろーー?」

「ん、誰かに頼もっか」

「あ、この人撮ってくれるって!」


行動の早い美紅さん。
すでに人の手を引いていた。

「…」

「胡乃葉にもあとで送るねーっ
ってことでおにーさんっ、
1枚お願いしまーす!」


大きなクリスマスツリーの前で
美紅は腕を絡ませて
あいた手でピースをしている。


「…左の子、それでいいの?」

…左の子…?


「へっ?あ、胡乃葉〜
もう笑顔笑顔〜」

「え…あ…うん…」


笑えるわけない。

赤……くない…けど…
それでもなんとなく
色が抜けて赤茶っぽい髪色で……


なんで…

…カズ…だよね、絶対…

あたしのことや
京平、飛鳥のこと
避けてるんだと思ってたのに…

なんでここに……?

「?このおにーさんと知り合い?」

襲われたことあっても
雰囲気がまるで別人だから
美紅は気づかないみたいだけど


「…いや?俺は知らないよ?」

声も

「んー?じゃあ胡乃葉の
人違いだよ〜!ほら笑って〜」


仕草も

「撮るよーはいチーズ」

-カシャッ

この写真のあたしは
とびきりの“作り”笑顔だと思う。


間違えなはずがない。


あれは絶対にカズだったーーーーー…