飛鳥と京平も
どこかへ出てしまったらしい。
他の数人も
酔ってもたれて寝ているかしていて
唯一起きて、
そこに座ってあたしを
見ていたリュウと
また、目があった。
「渚も行くのか?」
「行かない」
リュウの隣に
あたしも腰をおろした。
「今日、気分じゃないんだよね」
「赤毛のこと気にしてんのか?」
「…なんで?もう会うことも
ないと思うけど?」
「そっか」
「「…」」
リュウとなら、
無言は気まずいものではなく
むしろ心地よかった。
最近、金髪にしたらしい髪は
派手だけど
時々リュウの表情には
似合わないくらいに明るく見える。
「あたしも髪、染めようかな」
そんなつもりないけど、ぼそっと
つぶやいてみた。
「だめ」
「なんで?」
「俺が渚の綺麗な黒髪、…好きだから」
「綺麗かな」
「綺麗だよ。普通の黒髪よりも
漆黒の黒ってかんじで」
リュウの気持ち。
たぶん、…いや、絶対
あたしのことが好き。
そんなの
ずっと前から知ってた。
そういえば
和哉からの告白の返事、
曖昧に断ったけど
もし
和哉とリュウを選べって
言われたら絶対リュウなんだ。
だから、
和哉への返事は
決まりきってる。
これから先どうなったって
リュウよりも
大切に思える人が
現れるのかなって思うくらいには
リュウのことが大切。
恋心かどうかは、わからないけど。
あたしは
リュウの肩にもたれかかって
星を眺めていた……

