「てか、
ナギのクラスメイト、だっけ？
なんかナギのこと探しに来てた」
「あっ、おい…ばか京平」
「クラスメイトって…和哉？」
「なに？言っちゃいけなかった？」
リュウのポケットから
タバコの箱を抜きとって、
そこから1本のタバコをもらう。
あたしは一応未成年で
買うのが面倒だからいつものこと。
「…ふぅん…」
視線をリュウに向けると
目があった。
「…なんで隠すの？」
バツが悪そうに
視線をそらしてあたしが返した
タバコの箱をポケットに
しまい直して、ライターを出す。
ーカチッ
「ん」
「ありがと」
「ナギ」
七海が手招きしてあたしを
少し離れたところに呼ぶ。
「あいつ、あんたのこと
心配してんだよ」
「なんの？」
「んもぉ、鈍感なんだか
気づいてないフリなんだか…
あの“和哉”って子、
絶対渚のこと好きでしょ」
「…さすが七海」
「は？何？
告白されたってわけ？
…それは知らなかったわ」
「…うん？」
言ってないからね。
「それがリュウに
なんかあるの？」
「っ！
ナギってば！ほんと鈍感！！
リュウの気持ちも考えなさいよ」
リュウの気持ち…？
「あーーーーもう！
気づいてるんでしょ？」
「…」
…たとえ気づいてたって、
あたしにはどうすることもできない。
だから、リュウも
なにも言ってこないわけで。
「…わかんない」
リュウの本心は、
わからない。
