大好きなのは貴方の×××(仮)



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夜、街に出た。


制服だけど、
行きつけの店でお酒を買った。

リュウや七海、京平や飛鳥たちへ
…心配かけたかもしれないから。


この世界で心配なんて
ないのかもしれないけど
昼と夜、ふたつの世界を
生きるあたしには
境界が曖昧だったりするから




「リュウ、お酒買ってきたよ」

「お、さんきゅ。……って渚っ!?」

袋いっぱいにはいった
数十本の缶やビンを
みんなの真ん中に置いた。


「ごめんね」


「いや、戻ってきてくれて
俺らも嬉しいよ」


リュウが生ビールを1本手に取る。

「えー?俺“ら”って何〜?
リュウは特に、だよねぇ〜?」

七海がマスカットピーチの
カクテルの缶を1本。


「とか言って、七海もなかなか
喜んでるよな?」


京平がカシスオレンジの酎ハイを1本。

「七海は…ナギと1番
…気が合うみたいだからね…」


飛鳥が日本酒を1瓶。


「おい、飛鳥。
ひとりで1本飲むなよ」

「えー…京平のケチ。わかったよ…」



そんな様子を見てたら


「ふっ…あはっ」

「ナギ?」

「ごめん、なんでもないよ」


帰ってくるべき場所が、
ここにあったんだって思ったら
柄にもなく
泣きそうになった。