1週間ぶりの図書館の匂い。
完全にひとりだと思ってた。
ーカタン…
「…」
「和哉…」
あたしらしくもない。
でも、どうしたらいいか
わかんない。
「渚ちゃん、久しぶり」
「は…?」
口角をあげて
にやっとする。
あたしの目の前の席に
1冊の本を持って座った。
「星座ってなかなか
神秘的だと思わない?」
和哉が持ってる本は
紺色のハードカバーで
“星座のしらべ”と書いてある。
11月になる頃、
あたしの知ってる星座は…
「いまの季節はオリオン…
北にこぐま、りゅう、ケフェウス、
カシオペア
東にしし、うみねこ、ろくぶんぎ
南にらしんばん、うさぎ、おおいぬ
西にうお、おひつじ、おうし
あとはアンドロメダとか
端のほうにペガススとか
夜中の2時くらいに…」
「さすが」
にこにこと
嬉しそうにあたしの顔を
眺めるこいつは
何を考えているのか…
こっちは
気まずい思いでいっぱいだったのに。

