「お前らナンパとかされた?」
ぼそりと和哉がつぶやく。
「…多少は」
「齋藤がいるからな…」
…なにさ、意味ありげに
言っちゃって。
どーせあたしは
可愛くないですよ。
「あたしが“美紅のこと”
守ってるからね」
「…お前、鈍感?」
「…何が?」
胡乃葉は夜の世界にいるせいなのか、
元々なのか、
そういうオーラ
というかなんというか…
真っ黒、ストレートな髪と
大きな黒い瞳。
齋藤美紅の可愛さ、
とは全く別のモノで
男たちの気を引いていた。
それと、
近づいた時に気付いたけど
結構胸あるんだよな…
「みんな、下心あるだけじゃん。
あたしは美紅のついでだよ」
「……」
案外、こいつは鈍感かもしれない。

