「せーんせっ」 私は職員室からちょこっと顔を出す。 あの頃より少し伸びた髪の毛。 「おお!斎藤。卒業おめでと」 いつものように先生は笑う。 屈託のない、綺麗な笑顔で。 「私ね、世界史の先生になることにした!!」 「まじ?なんか嬉しっ」 「あ、大学はね先生と同じT大学だよ~♪」 有名大学から推薦は来ていたけれど 全て断って、T大学を受験した。 先生を追いかけたくて。 恋とか愛とかじゃなくて、ただ先生として。