ミーちゃんママは先に弾くので、それを真似して弾いて欲しいと言った。


もちろん、まだ喋れることの最後に必ず「ね」が着くようなちびっ子にピアノなどが弾けるはずがないと思ったミーちゃんママは基本中の基本のキラキラ星を弾いた。



私は出来るとか出来ないなどのことは頭になかった。ただ黒と白の鍵盤と真っ黒で少し蛍光灯の光を反射している胴体に感動した。いままでの話しはすべて母から聞いたものだが、この瞬間ははっきり覚えている。




そして私は生まれて始めて「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」というものに触った。何故か指は勝手に動いた。



よく意味が分からないままキラキラ星を弾いた。



私はピアノに触ることが出来た満足感に浸っていたが、ミーちゃんママは何故か口を半開きにして驚きの目で私を見ていた。