店を出てスタスタと歩く景を追いかける。
そんなに照れることか?
「おーい、景くーん?もう少しゆっくり歩こうぜ」
追いついて横から顔を覗くと、ふいっと逸らされた。
それが妙にムカついて、顎を取り強制的にこちらに向かせる。
「何で顔逸らすんだよ?」
そしたら景は顔を染めたまま、
「だって……変な顔してるから……」
なんて言うもんだから、
俺は理性との格闘を繰り広げた。
今、外じゃなかったら間違いなく押し倒してたな。
「……景のそれは天然か?それとも策略?」
「何が?」
天然だな、と決めつけて俺は手を離す。
「変な顔なんかしてねーよ。だからちゃんと俺を見ろ。せっかくデートしてんだからさ。」
「だ、だから!デートとか言うな!」
何をそんなに恥ずかしがってんだか……。
俺は景の頭を二、三回撫で、歩き出す。
「ほら、行こうぜ。何か食いたいもんは?」
「この間駅前に新しく店出来たんだ。そこ行きたい!」
隣に並んできた景の手を取る。
慌ててその手を離そうとした景に、少しだけと微笑むと、
「本当に少しだけだよ。」
と言葉とは裏腹な嬉しそうな顔で返してきた。


