「お待たせ、はい!」
戻ってきた景がにこやかに包みを差し出してくる。
「…さんきゅ。」
受け取ったよ。
受け取ったけど……さ。
「これからどうする?」
「そうだな……飯でも行こうか?」
俺の提案に景は意外そうな顔をした。
「嫌か?」
「嫌じゃないんだけど……普通のこと言ったから。」
「は?」
「律樹って遊び慣れしてるからさ、こう……もっと違う返しがくるかと思って。」
全く……
分かってねーな。
「……遊びと恋は違うだろ。遊び慣れしてても、全然役に立たねーんだよ。」
そういうと景は嬉しそうだった。
「それに、気付いてるか?今日初デートなんだぜ。」
「………デート」
みるみるうちに景の顔が赤くなる。
「へ、変なこと言うなよ!」
「どこが変なんだよ?初デートだろ」
「デートって言うなよ!!恥ずかしくなる!!」
顔を真っ赤にさせたまま、景は店を出て行く。
これは久々のツンデレ発動か?
俺は慌てて追いかけた。


