「で、さっき何か言いかけてなかった?」



校門を出た所で、横を歩く景に尋ねる。



「うん……でもいいや。また今度で」
「さっきの子の事気にしてるなら、遠慮しなくていい。今の俺には景だけいればいいんだ。」
「…………。」
「俺遊んでばっかいたから、ああやって誘ってくる奴らいるけど……もうしないから。絶対しない。」
「そうじゃなくてさ」



何となく言いにくそうに景は口を閉ざす。



「なんだよ?」
「……あの子、律樹のこと本気で好きなんだと思う。」
「まさか……遊んでほしいって言われたんだぜ?」
「遊びでいいから付き合いたいぐらい、律樹が好きって事だよ。」



景は、やけにハッキリと言い切る。



「何で分かる?」
「分かるよ。だって、同じ人が好きなんだから。気付いてないだけで律樹の事好きな人、たくさん居るよ。」



ちょっと拗ねたような態度で、俺を見る。



「ずっと律樹の事見てた僕が言うんだから間違いないよ。」
「………なんか熱烈な告白されてるみてーだ。」
「そうじゃなくて!自覚が足りないって言う話!」
「はいはい。けど向こうが本気なら尚更さっきの態度で正解だ。」



頭を撫でると、納得出来ないという顔で睨まれた。