電車で少し離れた場所までいくとちょっとした都会にたどり着く。

可愛い洋服を着た女の子や、最先端のファッションで決める男子達。

それぞれが自分の思い描くものへ近づこうとしている。


自分はというと目の前を通り過ぎていく女の子と変わらない格好をしている。

「ちゃんと前見ろよ」

両側に立つ男子が半笑いで言う。

「うっさいなぁ、ちゃんと前見てるし」

被っている帽子の先を少し持ち上げながら右側に建つ店のガラスを見た。


自分で言うのもなんだけど、“女の子？”と疑問がでてくる程の整った顔が映っている。

「男なのによく似合うよな」


横から独り言のようにこぼされる。


桐谷　悠（きりたに　ゆう）。それが俺の名前。



―――そう、俺は男なんだ。