「だ~れかと思えばパパじゃないっすか~。」
……は?
ぱぱ?
足を止めた男は怪訝に彼女を見詰める。
何言ってんだこのガキ、とでも思っていそうな顔がややあって眉頭を持ち上げた。
「あぁ。ひょっとして二三(ふみ)か。久しぶり過ぎてすっかりその存在毎忘れていたよ。」
ぱぱ……
巷でパパと言えば……
「「…援交……?(しかもロリ)」」
スズキ二人は揃ってボソリと突っ込んだ。
しかし降って湧いたこの男。
見た目は三十歳前後。
彼女が見た目通りの歳なら親子もあり得なくもないものだが。
細身のパンツにラフなシャツ。
中性的に整った面差しはまるで大聖堂に描かれたミカエルのようでもあり。
少し垂れた目に、泣き黒子が甘いポイズンのような危うい色気を放っている。
…言っちゃなんだが、御家庭向きではない。