至には普段余程腕利きの主治医がついているらしく、術痕はとても綺麗だが。



腕にうっすら残った傷の痕、その一本一本、場所に至るまで記憶がある。

あの女と全く同じではないか。

腹に残る痕にもその傷を思い出す事が出来る。





『自傷か』という質問に躊躇いつつ『否』と応えた女に嘘はなかった。


現実に傷を負ったのは至なのだから。




返答を戸惑ったのは、双子の特異な体質を説明し立証するのが困難と悟っていたからだ。






あ~、やってもうた。




よもやあの女が本当に『生きたい』と思って医者を縋ってきたなど夢にも思わずに。