「アッシにはメリットひとっつもないじゃねーっすかー。」



ぶーっと口を尖らせる彼女に、至は今一度リュックの中からある物を取り出し彼女に渡した。


ステッキだ。


棒に★のついたちゃっちぃステキなステッキ。



「なんすかコレ。子供じゃねーってんですよ。」



…ですよね。


渡した至こそハズカシイ。


少年に言われて用意したものだが……。


そこで少年が尤もらしく彼女に言った。



「ブルマジョのステッキやで。スズキ好みのキャラアイテムでスズキのハートゲットやんか。」


「なるほどんぶりバスト!つか、それならいっそコス用意しろってんですよ!熟年夫婦の強い味方コスプレ!倦怠期もコレで解決!いやっ惚れ直さないワケがナイッ!!」


「わぃ年老いたカミさんがブルマでベッドに待機してたらいややわぁ~」


「……倦怠期、なんですか?」


「惚れ直すの前に惚れた覚えないからね。」






ちなみにブルマジョ―――絶滅した(した?)ブルマにマントにみつ編み。○ビアンの厚底編み上げトゥシューズ、と言う井出達。


そんな奇抜ファッションの幼女を連れて歩きまわりたくない少年の独断でコスは端からスルーされていた。



「ちなみにそれキャンディーです。」

「ゴチっ☆」



彼女は早速ステッキに齧りついた。