「ほな、これから勢力を上げて人探しや。この広い魔窟をくまなくローラー作戦でいくで!」
そのローラーはご家庭用のコロコロか。
範囲と人数を鑑みて誰もが心中でそう突っ込んだ。
彼がはぁ~と面倒くささも明白な溜息を零す。
「俺は殺し屋であって万屋ではないんだけどなぁ…。」
少年が至に顎で合図する。
―――例のモノを。
それを受け、至がリュックから取り出したものを彼に差し出した。
ブルマジョの新刊。
この間、メリケンサックで穴が開き読書不可能となった代物だ。
「え?いいの?マヂで?」
「…はい。もう読んでしまったので。」
というか、こんな単行本一つで買収されていいのか、と逆に問いたい。