例えば仮にイイ事でもしたらボーナスポイントでも加算されて、その分人生が延長すると言うのなら、その『イイ事』をする時間を稼いでもやろう。
だがいかんせん、イイ事をしようが、ワルイ事をしようが死期はお構いなく訪れる。
負けると分かっているゲームをタラタラと伸ばす事に何の意味がある。
『治療』そのもの、『医者』の存在そのものの意義が根底から分からなくなった。
困った。
「ま、ここ居候させてもらう条件が助手やったから出てくけども。ちょくちょく顔見せにくるわ。」
そう言って少年は足元に置いてあったデカイ鞄を肩に掛けて立ち上がった。
「それで、オマエはこれからどーするね。」
「葬儀屋か掃除屋かその辺りで働こうかと思ってんねん。死人はぎょーさんおるから、ま、需要と供給やな。」
生かせんものを生かそうと躍起になるより、当たり前に生み出される『死体』をどうにかしてやる方が建設的ではなかろうか。
「さよけ。」
ほなさいなら。