負わなくてもよい傷を自ら負っておいて『助けてくれ』はないだろう。
死ぬ気であったのならば、うっかり迎えた終焉をジタバタ足掻かず、寧ろ喜んで迎え入れればイイ。
悲劇のヒロインぶってリスカし、その挙句“想像だにしていなかった”死期にうっかり近付き慌てて医者に縋りつく。
どんなコントだ。
何の茶番だ。
独り遊びに飽きた喜劇役者が患者面して医者を巻き込みコント熱演。
巻き込まれる医者としては堪ったもんじゃない。
バカバカしい。
けけけけ……と怪鳥の鳴き声みたいな笑声。
睨みつければ、老婆はニヤリと笑った。
『モノを知らん若造めが。医者ってのはな金と引き替えに治療する……是も否もそれが医者ってもんさ。』
魔女と言う名に相応しい顔に、少年は言葉を失う。

