「……なんでやねん。」
思わず口を吐いて出た言葉はコントで使い古されたツッコミみたいで、我ながら間抜けていると思った。
買い物の帰り道。
赤く夕日に染まった用水路沿いの道。
少年の帰路に落ちていたのはゴミ
―――ではなく、
屑のような女。
路上に転がる女の着衣に乱れはないものの、その服を染め上げる血量は致死領域。
尤も、少年が女を『クズ』と唾棄したのはその見た目が要因ではなく―――
少年はチラリと視線を女の腕に移した。
解けかかりの包帯の下に覗く縫合後。
コレが裁縫であれば称賛を浴びるだろう均一で細やかな縫い目。
その精巧さはさて措き、まだ生々しさを残す傷。