「二度とするな。二度とするな。二度とするな。二度と―――」





スミマセン。スミマセン。スミマセン……






バケモノにひたすら念仏を唱えるみたいに、後ろの殺意にただ謝り続けた。






遠くの『日常』を思い起こさせる他愛ない生徒の声にはっとすれば、いつの間にか後ろの気配は消えていて、身体の芯から弛緩した。


のろりと重い身体を立ち上がらせて、埃を払う。


投げ出されていた鞄を掴んで、校舎への道のりを進んだ。


ようやく昇降口が見えた、

トコロまで来て、足が止まり俯き加減の視線を上げた。






目の前に立ちはだかった人物がいたから。