彼女はナイフを引っ込め、ニコリと笑った。
「89戦89敗。本日も敗戦なり~。」
スズキは疲れた溜息を吐いて、フォークを置いた。
「君、ホントにやる気あるの?」
「アレッ?アタシの愛情を疑ってるんすか?本気も本気、大マジっすよ!!」
…だよね。
ソレは言わずもがな。スズキが一番よく分かっている。
タイミング然り、狙いの的確さ然り、躊躇いのなさ然り。
頸動脈の切断は紙一重。
彼女は一流の殺し屋だ。
そしてその攻撃を交わすスズキもまた然り。
生きる気概はないと言ったが、死ぬ気概もないもので。
攻撃に対応する能力を備えていれば、交わしてしまうのが人間の性というものだ。