ぼっ、
―――と鈍い音をさせて、新刊単行本に穴が開いた。
先ほどから彼が読んでいるのかいないのかテーブルに開いていたヤツで。
本を武器の前に翳したのは、とっさの、まさに反射的な行動ながら、危険回避のための本人の意図するところであるが。
「…あ゛。ブルマジョの萌え顔が潰れ……」
彼、固まる。
そも感情表現の乏しいキャラなのでそれ以上書きようもないのだが、他キャラであれば『世界の終わりを迎えたかという嘆きっぷり』というに相応しい。
お気に入りキャラの見せ場の顔面が見るも無残に粉砕。
『私はアナタの悪意に潰されやしないわ!!』
という噴き出しのセリフももはや虚し。
敵の悪意に負けずとも、破天荒な殺し屋の無茶愛には敵わなかったらしい。