話を聞いていた彼女がプルプルと歓喜に打ち震えだした。



「つまりスズキさんは常にアッシの行動を読み、先回りし、若ハゲの額の如くに広過ぎる懐でアタシの愛を受け止めてくれてるんすねー!!」


や、受け止めているわけじゃなく不可抗力ながら防衛本能の賜物だよね……てか、例えがちょっとヤダ。


そんなぼやきを彼が口にする事もなく。


首に当てるように翳したナイフがぷつっと小さな音を零した。


はらりと落ちたのは絶叫と共に彼女がすばやく首に回したピアノ線。



「はぅわ!今日もアタシの愛に溺れてはくれないんすねー。いけずっすわー。」



生憎ですが、ピアノ線の絞殺愛など受け取る気は毛頭アリマセン。



ああん♪と身悶える彼女を余所に彼は人知れず溜息を吐いたのだった。