「スズキさんは何か特技ねっすかー?」
問われて彼は一度首を捻り…
「俺って『マタギ』なんだよね、実わ。」
特技なのかソレ。という疑問はさておき。
「ぅわーっ!マタギってあれっすよね、人の心を読めるっつー妖怪?化けモン。モンスター!かっけー!」
猛烈に褒め称える彼女。
その能力より化けモンである事に食いついている感がしないでもない。
てかメッチャする。
「…ゴメン。フカした。心は読めない。」
彼に出来る事は人の次の行動を読む…というより感じる、事。
視覚からか聴覚からか、相手のほんの些細な行動の動きを読み取って常人ならざる早さで判断しているのかもしれないが。
本人にも実際には分からない。
ともかく彼が右と思えば右に、左と思えば左に
―――逆を言えば相手が彼の思うように動く。
尤も右に行くと思った物を左に行かせる力はナイわけだが。
彼がこれまで攻撃の全てを難なく交わしてしまうのはこうしたワケである。