そして長い長い沈黙を経て、ようよう口にした


―――その名は



「スズキ、で。」



どぉ?とあくまで彼女の同意を求める方向。


しかし、まぁ、どーなの、スズキ。



「長考の割に耳馴染みの良い大衆向けのステキなお名前っすね♪」


「ビミョウにオトすか……」



彼は大仕事を成し遂げて疲れたみたいに手で首を軽く撫でた。


キャッチコピーとか標語とかサラッと思いつくセンス0なもんで……と前置きして



「名前というからには覚えとかなきゃ無意味なわけで。忘れない名前と言うなればスズキかなと。」



そこで彼女はほ?と目を見開いた。



「猛烈に好奇心を擽るお言葉っすねー?うしかもしかスズキというのは―――」


「俺の名前だよね。」


「YES!!」



彼の応えに彼女は拳を突き上げた。


そこ、正・不を判定するのは俺の役でなく…?


と思わないでもなかったが口にするのは止めた。